英語教育は、2011年より小学5年生からの必修授業となりました。2020年からは、開始年齢が
引き下げられ、小学3年生からの必修化、小学5年生からは教科化が完全実施されます。
英語をしゃべれない日本人が多いがゆえに、英語に親しむ期間や量がますます増えていき
ますが、これはどの程度有効な施策と言えるのでしょうか?言葉の臨界期は9~10歳頃と
言われています。臨界期とは人間の一生において脳の発達が最も盛んな時期のことです(※)
下記は早期教育の実際の効果について、文部科学省 英語教育の在り方に関する有識者会議の
内容を抜粋したものです。
早期からの英語教育の有効性を脳科学的に検証すべきとの観点から、いわゆる【臨界期説】
について論点を整理した。
◎【臨界期仮説】は、本来母語習得に関するものであり、第2言語習得環境(第2言語に接す
る機会が日常生活にとても多い環境)を対象とする研究にも広げられた。明確な臨界期の
存在は未確認であるが、一般的に、学習年齢が高くなるほど、ネイティブスピーカー
(母語話者)に近い言語習得が難しくなると解釈されている。
◎一方、日本のように、日常的に外国語と接する機会が少ない環境での外国語学習は、第2
言語習得環境と分けて考える必要がある。スペインでの研究によれば、8歳から英語学習を
始めた子供は、11歳から始めた子供と比較すると、文法能力では追い抜くことはできないが
リスニングと発音では、統計的に有意な差が出ている。国内でも、小学生から英語を学習
した者の方が、大学生になってもリスニングの力が高く、英語への肯定的な態度が高いと
いう研究結果がある。リスニング等や英語を使うことの自信に関して一定の相関関係が見られる。
◎脳科学は、著しい進歩を遂げているが、今のところ、言語教育や外国語教育に関する政策や
教授法に直接に示唆を与える研究成果はない。
(文部科学省 英語教育の在り方に関する有識者会議より抜粋)
後半(太字部分)に「……リスニング等や英語を使うことの自信に関して一定の相関関係が
見られる」とはありますが、「脳科学は、著しい進歩を遂げているが、今のところ、言語
教育や外国語教育に関する政策や教授法に直接に示唆を与える研究成果はない」と結んで
います。上記の理由のひとつとして、私が思うところは、脳科学がどんなに発達しても、
英語に関心興味が薄い、また必要性が乏しい場合、日本人は日本国内において、日本語で
充分コミュニケーションが取れる環境があるわけですから、それ以上にはなりにくいのが
原因ではないか、と考えます。
英語の早期教育以上に「どうしたら英語により高い関心を持ってもらえるのか」の具体的
解決策こそ必要かと思います。
ただご父兄様の方で、【何が何でもバイリンガルに育てたい!】というのであれば、まずは
日本人バイリンガルに意見を求め、そこから総合的にあらゆる角度から検討し、英語教育を
スタートするのが一番有効な、英語を学び始める最良のタイミングと考えます。
(※) 臨界期という言葉の意味は、「学習が可能な限界の年齢」という意味で使わる場合もありますが、
このブログでは上記記載の意味で使用しています。